高野 真也さん

自分達に合っていた小豆島

30年くらい東京に住んでたんですけど、ずっとフワフワした感覚みたいなのがあって。でも大きかったのは、震災後に都市部の脆弱性をすごく感じて東京にずっと住むイメージが湧かなくなったことかな。

最初は自分達で食べるものも育てて、良く言う自給自足出来るような生活が出来る場所がいいねって感じでした。そんな時に、ちょうど有楽町の香川県移住セミナーに参加してそれがすごく良かったんですよ。特に瀬戸内の島は2人とも昔からすごく気に入ったので、香川の離島を中心に本格的にリサーチし始めました。
実際に行ってみないと分からないと思って色んな離島に行きましたが、結果小豆島が一番良かった。規模感や地域の人との距離感、産業的にも安定していて自分達の条件に合う場所だったんです。

移住に時間はかかったけど、それが結果的に良かった。

ということで、小豆島で身の丈にあった自給自足の暮らしを目指そうというのは決まったんですが、肝心の農業が未経験だったんです。そんな中、たまたまハローワークで香川県丸亀市の有機農家さんの求人を見つけて、お世話になりました。色々学びながら家探しを並行して行っていく形がベストなんじゃないかなと思い、時間が取れるときに丸亀市から庄戸市島まで家探しに通うという生活をしていましたが、気付いたら2年くらい経ってましたね(笑)。
それだけ通うとさすがに島の事も知れ、繋がりも増えてきました。自分の中でも島で暮らすという実感やリアルさがだんだんと醸成されていた気がします。

ただ、なかなか理想に近い家が見つからなくて。縁がないんじゃないかって思い始めてた矢先に、当時オリーブの収穫バイトでお世話になっていた有機のオリーブ農園さんから手放したい畑があるから使わない?っていう話を頂いたんです。ほんとは畑では、野菜とかをやりたいなって思ってたんですけど、自己資金も無かったし色々考えると現実的で無くて。オリーブも好きだし、有機でやってる土地があるんだったら、そこを引継いでやっていこうかなと。しかもそのタイミングで、家も見つかって。それまで全然決まらなかったのに、不思議ですよね(笑)。
時間をかけた分、交流関係でも、いい人達に巡り合えて、それも結果的には良かったです。

食を通して伝えていきたい島暮らし

正直な話、現状オリーブ製造だけで生計を立てていくのは難しいので、HOMEMAKERSさんでの農作業や、草刈りのバイトを掛け持ちしながらやりくりしています。今住んでいる家もアートハウスみたいにしようと家の改装もやったりしてるので、正直時間が全然足りないです。もう少し、効率的にやらないと(笑)。

今後は、例えば畑で採れたオリーブオイルを使った料理会を家で開催したりとか、カフェ営業もしていきたいと考えています。自分達が食を通してのコミュニケーションをすごく大事にしているので、気軽にランチスタイルのお店というより、予約優先でがっつり飲んだり食べたりして食事を楽しんでもらうのが理想ですね。
移住して3年、大変な事もありますが、とても充実しています。ただ先の展望が見えない不安はあるので、しっかりそこは目をそらさずにやっていきたいですね。

島ぐらしを考えている方へのアドバイス

小豆島だからとかじゃなくて、どこにいても満足できる自分を持つことですかね。
あとは、うまくいかなくなっても、自分自身を追い込みすぎないように。
失敗したらまたそこからやり直せばいい。そこは都会よりもやりやすい環境ではあると思います。
なるようになるっていうスタンスとやりたいを楽しんでやる事が大事だと思います。

プロフィール
高野 真也(たかの しんや)
1967年、新潟県生まれ。
妻・夕希子さんと2人暮らし。
tematoca(手間土果)として小豆島で無農薬のオリーブ製造・販売をおこなっている。
アート好きが講じ、現在家を2人でアートハウスに改築中。

tematoca

Webサイト
https://www.tematoca.com/

インタビュー取材・文担当。小豆島出身、進学のため島を離れ、大学卒業後東京で約10年アパレル関係会社で勤務。2017年に小豆島へUターン。現在はpizza kamosでの店舗プロデュースをメインにプランナーとして活動中。

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