上杉 道代さん

暮らしやすい地元に戻る、という選択

私はUターンなんです。小豆島生まれの人って高校まで島内で暮らして、その後は進学や就職で島外に出る子が多く、私もそれが普通だと思っていたので、高校卒業後は関西の短大に行きました。そして、そのまま大阪の証券会社に就職してって感じです。
就職してからは、仕事も営業職でハードな事もあり、かなり疲弊していました。合わなかったんでしょうね。タイミング的に震災も重ったりして、自分の今後の生き方的なところも見直そうって考えだして。
それで縁があって、瀬戸内の直島のベネッセに転職しました。会社も自由な社風で、直島での暮らしは、人間関係も含めて超楽しかったですね(笑)。業務自体も、商品の企画から販売までやらせてもらったりして、それも自分に合ってるなと感じていました。
直島にいた時に、当時女木島で暮らしていた夫と知り合って、結婚を機に私の地元でもあり、暮らしやすい小豆島に住もうということになりました。2人とも離島の暮らしが気に入っていたので、また都会で暮らすっていう選択肢はなかったですね。

お店について聞かせてください

お店自体は、ゆくゆくはやりたいと、なんとなく考えてはいたんですが決めて戻ってきたわけではないんです。家探しのタイミングでたまたま今の店舗物件に出会ってから、イメージが少し膨み、結果的に始めたって感じです。
ただ、全く手つかずの倉庫だったので、実際の店舗の準備は苦労しました。その状態でお店をやるイメージもなかなか湧かなくて、試行錯誤していました。当時は2人とも無職だったこともあり、その時が一番きつかったですね(笑)。
苦労する部分も沢山ありましたが、家族、地域の方々の理解と協力もあって、どうにかオープンにこぎつけられました。1年目とかは不安で仕方なかったですが、今年で開店から4年目に入り、今までボヤっとしていたものが明確になってきましたね。不思議なんですが、自分たちでこの場所を育てつつ、逆に自分たちも成長させてもらってるみたいな感覚ですね。
今後はオンライン販売にも力を入れていきたいですし、この立地を体験できるような事をやっていきたいと思ってて。お店で体験型のワークショップをしたり、あとは土地が広いので、山の方の敷地とかも使って何か出来ればいいなとか。
この場所を通して、島内外問わず色んな人に島の魅力を発信していければいいなと考えています。

子どもがいる新しい暮らしはどうですか?

子どもが産まれてから、今のところそんなに難しいなって感じはないです。母親もたまに手伝ってくれているので助かってますし。
ただ、子どもとお店の2軸になって考えないといけない事が増えたなっていう感覚はあります。今はお店で子どもを見ながら、2人で仕事をしていますが、動き回る歳になってくると難しくなってくるでしょうし。夏は忙しくなるので、保育所に預けるようになると思います。
子育てに関しては、自分たちもやっと最近親としての自覚が出てきたくらいなので、正直まだ分からない事も多いですが、島の環境はいいですね。その環境を感じながら、ノビノビと自由に育ってくれたらいいかなと。それこそ子どももお店を通して、色々体験して成長してくれたら、「うすけはれ」自体もまた成長していくのかなと思います。

(2020年1月インタビュー)

プロフィール
上杉 道代(うえすぎ みちよ)
1986年、小豆島生まれ。
高校卒業後は島外で暮らしていたが、結婚を機にUターン。
夫と共に、小豆島中山地区で2017年にセレクトショップ「うすけはれ」をオープン。
立地を生かした空間づくりで島内外問わず人気のショップになっている。
昨秋に長男が生まれ、現在家族3人暮らし。

うすけはれ

千枚田で有名な中山地区にあった素麺工場を改修し、夫婦でセレクトした衣服や食器、雑貨、アクセサリー等を販売している。
https://www.usuqefare.com/

Instagram
https://www.instagram.com/usuqefare/

インタビュー取材・文担当。小豆島出身、進学のため島を離れ、大学卒業後東京で約10年アパレル関係会社で勤務。2017年に小豆島へUターン。現在はpizza kamosでの店舗プロデュースをメインにプランナーとして活動中。

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