柿崎貴道・未佑紀さん

みんなで作り上げた島の拠り所

柿崎貴道さん(通称 山ちゃん/以下 山):
僕は島に戻ったのが、2004年なので16年目?かな。大学で島外に出て、普通に公務員として東京で働いてたんですけど、趣味で始めたカヤックがすごく楽しくて、これを仕事にしたいなと思ってカヤックガイドの勉強をした後に、こっちに戻ってきました。
高校まで島にいたときもですが、戻ってきた当初と比べても、今はだいぶ変わったなぁと思います。移住される方も新しいお店もこんなに無くて、コンビニすら無かったですからね(笑)。やっぱり、瀬戸内国際芸術祭と2011年の東日本大震災がキッカケで移住する人が増えて、島の雰囲気も変わった気がします。昔は、移住自体が珍しかったので、誰か来るとだいたい誰か分かるような感じだったけど、今はもう多すぎて分からない(笑)。
いろんな人の力が合わさって、島が賑やかになるのは嬉しいですよ。

未佑紀さん(みゆきさん/以下 み):
私は地元が山形で、小豆島に来たは2016年なので4年目です。元々色んなところに住んでみたいっていう気持ちがあって島に来る前も、沖縄とか鹿児島・北海道の離島を農業バイト等で転々とする生活をしてましたね。山形の育ったところも田んぼが広がるのんびりとした田舎で、めっちゃいいところなんですけど海が無かったんです。海への憧れみたいなのはずっと昔からありましたねぇ。小豆島は一度も来た事が無かったんですが、友達に「絶対合ってる!」って勧められて、最初は1年くらい住んでみようかなくらいの感じで来ました。実際来てみると島の中はなんでもあって、意外と都会だし島外へ利便性もいいので不便さを感じることはほとんど無かったですね。


このタコのまくらは、自分が食にも元々興味を持っていたというのもあるんですけど、島でカヤックのガイドをやりながら、終わった後にゆっくりしたり、島の人も気軽に集まれる場所があるといいなと思って作ったんです。当時はカヤックのガイドやりながら自分達でイチから、お店づくりをしていたのでトータル6年くらいかかったかな(笑)。
最初はボロボロの空き家だったので、直すのも大変で。島の友達達にも手伝ってもらったり、紆余曲折しながら、なんとかオープンにこぎついたって感じでした。
お店がスタートしてしばらくは僕はカヤックガイドをしながら、お店の方は飲食経験のあるスタッフに任せてたんですけど、ちょうど未佑紀ちゃんが来るタイミングが僕がガイドからカフェ業務を引き継ぐタイミングで。その時は、ほぼ素人二人が引き継いでのスタートだったから大変でしたね(笑)


カフェもちょうど忙しい時期と重なってて、引継ぎも確か2,3日だったよね?いやー、私達よくやってたよ(笑)。慣れないから毎日夜遅くまで作業して。こっちに来てからずっとそんな働き方だったから、しばらくして私倒れちゃって‥


そうだね。よくやってたよ(笑)。未佑紀ちゃんが倒れてから、僕の父と母が手伝ってくれるようになって、今のスタイルになった感じだね。

2人で暮らし始めて変わった価値観


島に来てからの仕事はそんな感じでバタバタしてたんですけど、休みの日は島の暮らしを満喫してました。ちょうど同じ時期に、移住してくる人も多かった時期で。お店や島内のイベントなんかで、移住の人はもちろん、島の人とも繋がりが作りやすかったんです。仕事終わりでも飲みに行ったり‥いい時期だったな(笑)。


未佑紀ちゃん、めっちゃ飲みに行ってたよね(笑)。確かにちょうど当時は色んな人がパワフルに色んなイベントをやってた時期で。僕が島に帰ってきた時なんかは、そんなのも全然無くて、逆に”変な人が帰ってきた”って自分だけめちゃくちゃ目立ってた(笑)。
お店のことでいうと、未佑紀ちゃんと一緒に運営したり暮らすようになって、お店もだいぶメニュースタイルが変わりましたね。それまでは、お店もオーガニック系が強いメニューだったんですけど、最近は島の人に合うように味も調節したりとかして。彼女が作るデザートやお菓子もそんな感じだし。


確かに山ちゃん、その当時はお肉も食べなかったりとか厳格な自然派だったよね(笑)。お店のデザートやお菓子もなるべく自分の作りたいものをって思ってて、山ちゃんに「一度自由に作っていいよ」って作らせてもらったのが海ウサギ(お店の看板スイーツ)。


そう。それがむちゃくちゃ美味しくて感動したんだよね(笑)。それまでは今までの形を継続しなきゃ、みたいなのが自分の頭の中にあったんだけど、そういうのも今は無くなったかな。柔軟にみんなで話し合いながらって感じでできていますね。
お店も今後は島内だけじゃなくて、島外にも発信していきたいと思ってます。未佑紀ちゃんのお菓子をオンライン販売したり、僕もコーヒー豆の方に力を入れていきたい。ゆくゆくは、カフェの営業自体を少し減らしてそっちにシフトしていければいいかなと。
子供も産まれて子供との時間も増やしたいっていうのもあって、そういう働き方も今年から少しづつ変えてといけたらと思っています。

小豆島はこれくらいがちょうどいい


子どもが産まれてからは、子ども中心の生活になってて。もう少しで2歳になるんですけど、今は平日保育所に預けてます。人見知りもしないし、楽な方だと思うな。今は、まだ私から離れたくない時期っていうこともあって、大変なのは大変ですけど‥とはいえ、めちゃくちゃ可愛い(笑)。
島の保育所は平日しか預けられないところがほとんどで、私達みたいに土日がお仕事の人は結構大変だろうなと思います。島内にベビーシッターの制度みたいなのがあればいいですよね。


子供と一緒に良く行くのは、ふるさと村の公園かな。あそこ芝生でいいんですよ。
今ままではそんなに行ったことなかったけど、親目線で見るとそういう環境も島の中は結構あるなって。あとは、家の前が海だから外で遊ばせてってのが多いかな。


島は子育ての環境としてもいいよね。学校も高校までちゃんとあってイジメとかも少ないみたいだし。近所の人もいい人が多くて、安心感もある。
買い物も、島内で手に入るもの+ネットショッピングがあれば、全く困らない!


昔に比べると、今は生活するのに全然不自由ないよね。島暮らしとしては、全国探してもこんな住みやすい島無いんじゃないかなぁ‥めちゃくちゃ恵まれてると思います。地元の人で、不便やでーって言う人たまにいるけど、僕たちからしたら、「いや、どこが?」って思いますもん(笑)。


それは思う(笑)。でも、これくらいがちょうどいいんじゃない?あんまり街になりすぎてもね。お店やってるから便利なほうがいい部分もあって複雑だけど、この状態を維持するくらいがちょうどいい気がしますね。


お店の今後の営業に関しては、無理せず夫婦2人で出来る事をしていこうって思ってます。やっぱり家族との時間は一番大切にしたいし、子育てとのバランスも考えて今までのランチ営業は無くし、未佑紀ちゃんのおやつと僕の珈琲で営業を行っていく予定です。
お店の営業スタイルは変わるけど、僕らは今まで通り変わらないというか変わりようが無いので(笑)、今まで通り気軽に遊びにきてください!

(2020年3月3日インタビュー)

プロフィール
柿崎貴道(かきさき たかみち)、未佑紀(みゆき)、花太(はなた)
貴道さんは1972年に小豆島、未佑紀さんは1993年に山形生まれ。
夫婦で小豆島室生地区にあるカフェ「タコのまくら」を経営。
2017年結婚、翌年2018年に第一子・花太くん誕生。
2人が仲良くなったキッカケは、無人島でのキャンプ。
島でのデートにキャンプはおススメ。
タコのまくらのスイーツ

おやつと珈琲
タコのまくら

毎週水~土営業
11:00~LO16:30
0879-62-9511
https://takomaku88.com/

Instagram
https://www.instagram.com/takomaku88/

Instagram(オーダーケーキ専用アカウント)
https://www.instagram.com/umitooyatsu.takomaku/

オンラインショップ
https://takomaku88.thebase.in/

インタビュー取材・文担当。小豆島出身、進学のため島を離れ、大学卒業後東京で約10年アパレル関係会社で勤務。2017年に小豆島へUターン。現在はpizza kamosでの店舗プロデュースをメインにプランナーとして活動中。

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