山本 友則さん

それぞれの仕事で得た貴重な経験

就職してからしばらくは岡山にいて、20代はアパレルメーカーで働いてました。元々モノづくり自体に興味があって、その会社では商品の企画部門でした。仕事自体にやりがいはあったんですけど、もう少しダイレクトなモノづくりがしたいと思って、飲食業界にという感じです。
その後は、パンの製造スタッフやパンカフェの製造責任者を経験して、生地作りや飲食業の基礎を一通り学びました。それから、新しくオープンするピザ屋に入る事になったんです。ピザづくりに関しては素人だったのでその店で働いていた師匠に、働きながら学んでいきました。ただ職人気質の人だったので当然すぐには教えてもらなくて。まずはお店のホールマネージャー業務をマスターしてからという感じでした。忙しいお店だったし接客も一切やった事無かったので、自分では苦手だと思い込んでいたんですが、やってみるとこれが意外と楽しくて(笑)。
並行して店の売り上げも伸び、師匠にも認めてもらえて、そこから徐々にピザづくりを学ばせてもらえました。4年くらい働いて、その後に高松の2号店を任せてもらえることになったんです。

好きな場所から住みたい場所へ

意外と言われるんですが、元々独立して自分のお店をやろうって感じでは考えてなかったんです。
でも、高松から小豆島に遊びに来るようになって、最初から不思議と「ここに住みたい」と思ったんです。とにかく居心地がよくて、帰りのフェリーでは幸福感でいっぱいで。この感覚なんだろうなーと考えた時に、人も風景もなんとなく三重の地元に似てたんです。でも最終的には出会った人達がキッカケ。ほんまにいい人達に巡り合えました。それで、好きから住みたいに変化していきました。
じゃあ小豆島でなにやろうとなって、色々紆余曲折あって時間はかかったんですけど、結局自分のお店をという流れになったんです。瀬戸内国際芸術祭の期間と重なったこともあると思いますが、2019年5月オープンから秋くらいまで、お客さんが沢山きてくれて本当にありがたかったです。約1年営業してみて改めて感じることは、思っていた以上に繁忙期と閑散期の差が激しいなということです。これから島で飲食業を継続していくためにそういうところはどうアプローチしていくか考えていかないといけないなと思っていますが、それを考えるのもまた楽しいですね。

色んなモノや人が発酵する場所でありたい

これは発酵の話なんですけど、ざっくり言うと生地って沢山の菌達が手を取り合い、共生しながら小麦粉の糖質やデンプン質を分解生成して、熟成された結果膨らんでいくんです。これが発酵の原理で、ピザも一つの生地に色んなものを載せて商品ができるじゃないですか。色んな可能性を受け止められるお皿みたいな。
ここの店づくりも同じような感じで、色んな人が来て出来上がる空間づくりっていうのを大事にしたいなと思ってて。色んな人やモノが発酵するみたいな場所でありたい。そういう場所に自然になっていければと思います。
業種問わず同じベクトルを向いた人達と色々やっていければいいなと。それはお店だけじゃなくて、島での生活も同じで。何事も自分達が楽しむことを考えてやっていきたいですね。

島ぐらしを考えてる方へのアドバイス

移住というより、引っ越すくらいのスタンスで来た方がいいと思います。腹くくってとかではなくて、そういう人のほうがハマりやすいんじゃないかな。
とにかく一度来てみて、肌で感じた自分の感覚を信じたほうがいいですね。
自分自身が楽しめて暮らせるっていうイメージを持てるのが一番だと思います。

プロフィール
山本 友則(やまもと とものり)
1978年、三重県生まれ。妻、長女、長男の4人家族。
2019年春に単身小豆島に移住し、同年5月に土庄港近くに「pizza kamos」をオープン。
こだわりのピザ作りのお店としてオープン直後から、多くの人が集まる人気店となっている。

pizza kamos

香川県小豆郡土庄町甲 吉ヶ浦6190−80
TEL 0879-62-8731
営業時間 11:00~15:00/18:00~22:00
定休日 月曜日

Instagram
https://instagram.com/pizza_kamos

インタビュー取材・文担当。小豆島出身、進学のため島を離れ、大学卒業後東京で約10年アパレル関係会社で勤務。2017年に小豆島へUターン。現在はpizza kamosでの店舗プロデュースをメインにプランナーとして活動中。

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